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議会質問・討論・意見陳述

気候危機:企業の取組み可視化で温暖化対策推進を!【福田まさひこ議員の代表質問】(2024年第3回定例会)

2024/9/5

1地球温暖化対策について

(1) 市原市地球温暖化対策実行計画の産業部門における施策について

この8月、35℃以上の猛暑日が続きました。

『地球沸騰化』の時代と国連事務総長が警告し、若者たちは「私たちの世代を守れ」と叫んでいます。

ついに日本でもこの8月、15~29歳の全国の若者16人が火力発電事業者の10社を提訴しました。

若者は、「化石燃料産業が短期的な利益のために私たちの未来を破壊することは許せない」「この地球をできる限り今の状態のまま将来世代に残したい」と訴えています。

2021年、気候変動に関する政府間の専門機関であるIPCC(政府間パネル)が発表した報告書には、

「地球温暖化には人間活動による疑う余地がない」と結論づけました。

今年の2月市長は、市原市ゼロカーボンシティーを宣言されました。

市原市地球温暖化対策実行計画によりますと、2013年度

全部門温室効果ガス排出量の年間合計15,811(千五百81万)千tのうち、産業部門の排出が極めて大きく全体の82%を占め、その2030年削減目標は41%となっています。

市原市の目標達成には臨海部の事業者の取組みに大きく依存することは明らかです。

昨年10月に開催された第2回市原市地球温暖化対策地域協議会において、本実行計画骨子案の議論の中で、複数の委員から、産業部門の排出削減の重要性が指摘されています。

特に副会長からは、産業部門カーボンニュートラルの促進が政策の視点に入ったことはすごくいいことだと称賛され、

「どの企業がどのくらい取組んで、どのくらい削減しているかを市民に理解してもらうことがすごく大事だと思います。」と発言されています。

実行計画の付属資料として市民アンケート(無作為抽出1900人、回答率24%)があります。

・地球温暖化・気候変動への関心について

「(とても、やや)関心がある」88%

・今後の地球温暖化・気候変動の進行について

「(大きな、やや)危機になる」90%

回答者の中では圧倒的多数の市民が地球温暖化に対して関心があり、危機を感じています。

また、アンケートで市への期待についての複数回答で1位は、「市民や事業者に役立つ情報の提供」で、52%あります。

先の副会長の発言は、市民と事業者との間の情報の共有化だとと捉えることが出来ます。

地球温暖化という行政、市民、事業者共通の課題に対して、情報を共有化する必要があり、市の役割は、その情報の可視化、すなわち市民によくわかるように説明することだと考えます。

 

質問①

市の排出総量の82%を占める産業部門において、企業の温室効果ガス削減目標とその取り組みを市民に対して広く可視化することは、二つの点で大きな意義があると考えます。

一つは企業においては産業部門における削減の重要性の認識向上

二つ目には市民においては市民自らが温暖化対策へ取り組む意識の向上

これら二つが進むと考えますが、当局の見解を伺う。

これを最初の質問とします。

 

答弁後

それぞれの企業が温室効果ガスをどれだけ排出しており、どのような手法を用いて削減しようとしているか、具体的数値を公表することは、企業の社会的責任を果たし、企業イメージ向上にも役立ち、

全市民的な取り組みを促進することにつながると考えます。

先の副会長の発言を市の取組みに活かしていただくように要望いたします。

 

目標を設定したら、その達成のために、ロードマップを作成し、その進捗管理を行わなわられなければ、その実現は担保されません。

産業部門個々の事業者がそれぞれ、目標を持ち、進捗管理を行った総結果が目標値41%を達成することになります。

ここで重要なのが、各事業者の目標達成に対する市の関わりです。3月定例会において私の質問に対して、

市の答弁は

「本市では、工場の建設や操業に伴って生ずる環境負荷低減のため、臨海部企業等と協定を締結し、温室効果ガスの排出削減に努めることや、当該年度における排出量の見込み、排出抑制対策を年間計画書において報告することを義務付けております。」と答弁がありました。

この臨海部企業との協定の開示を当局に求めましたが、本協定は千葉県との3者協定であり開示はできないとの回答がありました。

そこで質問します。(質問②)

市原市は千葉県と事業者との間で締結した「環境保全に関する協定」を基に、事業者からの報告を義務付けているとしているが、

本報告により、事業者の削減量の実効性は担保できるか

見解を問う

(答弁後)

川崎市では条例を制定しています

「川崎市の条例は、事業者に計画書と実績の提出を求め、市はその実績を評価し、結果を公表し、さらに事業者に指導・助言をする制度」と、

3月定例会の私の質問に対して答弁がありました。

市原市でもこのような条例が必要ではないでしょうか。

世界の科学者は地球全体の環境が急激にかつ大規模に不可逆的に変化をもたらす転換点(ティッピングポイント)を恐れています。

その具体的現象としてグリーンランドの氷床融解と南極西部の氷床融解があげられ、産業革命以降の世界の平均気温の上昇の閾値が1.5℃と推定しています。

昨年の平均温度の上昇は史上最高となり、1.45℃前後と世界気象機関は報告しました。もはや1.5℃越えは目前です。

日本一のコンビナートを有する市原市の役割は重大です。

(2)地域共生型の再生可能エネルギーの推進について

2011年東日本大震災と福島第一原子力発電所事故をきっかけに、再生可能エネルギーのさらなる普及を求める世論が高まる中で、同年に、略称再エネ特措法(通称FIT法)「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立しました。

これは、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けたものです。

本来であれば地域に根付いた再生可能エネルギーであるべき太陽光発電等が、このFIT法を商機ととらえた様々な業種業態の利益優先企業による不適切な参入があり、各地で森林伐採などの環境破壊、住環境近くでの生活被害が持ち上がっています。

市原市における相談件数は22件との回答でした。

私が受けた相談として例えば

加茂地区の古敷谷では、破綻したゴルフ場跡地に設置されるメガ級出力の発電所に対して、地元住民は町会として2020年に市長へ、環境問題など5項目の問題点について要請・質問書を提出しています。

また、有秋地区では、「企業の社宅等が取り壊された後、メガソーラーが多く設置され、せっかくインフラが整備された箇所に、住宅以外の設置は規制すべきではないでしょうか。」との市長への手紙が提出されました。

市からの回答は「今後、(市民や事業者の財産を制限する際には、関係する皆様の理解が重要であることはもちろんのこと、施策のバランス等にも配慮する必要がありますので、)他自治体の事例を参考としながら、住宅団地における太陽光発電設備の設置に係る規制について検討してまいります。」

とあります。

市は6月定例会にて、このようなトラブルに対して、改正再エネ特措法に基づき、「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」に従い対応するとの答弁がありました。

しかしながら問題点として、

・「ガイドライン」には事業者に対して遵守義務はない。

・大型事業者に対して「ガイドライン」での対応だけでいいのか

があると考えます。

今年3月、総務省行政評価局による「太陽光発電設備等の導入に関する調査結果」が公表され、太陽光発電設備の設置に起因する土砂の流失や法面の崩壊など、地域住民の安全を脅かすトラブルについて深刻な実態が明らかになりました。

その中では、規制条例が制定されている自治体ではトラブルの発生が少ないとの報告が記載されています。

現在の状況は問題ありと当局は認識されていると考えます。

そうであれば、条例化を含めて規制を検討すべきと考えます。

質問①

太陽光発電設置に伴うトラブル実態の問題把握とその対策と規制について見解を伺う。

 

(答弁後)

総務省行政評価局の報告での全国の流れからも、また市原市の実態を見ると、条例化は必須だと考えます。

本来再生可能エネルギーは地域に根付いたものであるべきで、条例化の検討を要望します。

国連機構変動枠組締約国会議COP28では、パり協定の目標達成のためには、全世界で再生可能エネルギー設備を2030年までに3倍化する必要があるとして、日本もその誓約に合意しました。

日本の再生可能エネルギーのポテンシャル(潜在的発電可能性)は環境省のデータによりますと、

2020年全国の発電量(1兆310億kW)の7.3倍、

その内の太陽光発電は3.1倍と大きなポテンシャルを有しています

また、太陽光発電のコストは、資源エネルギー庁の集計では、2030年で他の方式と比較し最安となると予測されています。

実行計画視点1再生可能エネルギー等の利用促進において、

達成指標として、市内産出の太陽光発電で賄われる世帯の数の2030年目標13万世帯とあり、これは市原市の全世帯数にあたるものと考えます。

質問②

この指標の数値はどの様に算出されたのでしょうか。

目標値は温室効果ガス換算で市全体削減量の1%に

しか相当しません。(182/15,811=1%)

目標値の妥当性と目標の達成指標について見解を伺う。

 

(答弁後)

最後に要望を申し上げます。

これまでの4つの質問を通じて分かるのは、地球温暖化対策実行計画の内容が市民には分かりにくいことです。

そのために、実行計画の見える化を進めていただきたい。

その一環として、日本一のコンビナートがある市原市で、カーボンニュートラルシンポジウムを開催してはいかがでしょうか。

また、再生可能エネルギーは本来その地域固有の資源であり、

地域住民の利益につながるべきものです。経済部と連携して、

エネルギーの地産地消につながる取組みの事業を検討することを併せて要望いたします。