2024/9/17
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」略して「女性支援新法」が今年4月1日から施行されました。
困難な問題とは、この法律の第2条で、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他様々な事情により、日常生活または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性としており、想定される問題としては、性暴力、性被害、性的搾取、離婚、DV、生活困難、障がい(身体・知的)がある、精神疾患がある、外国籍であるなど多岐にわたります。
私はまず、女性支援新法の意義について確認したいと思います。
この法律の目的・基本理念として、「女性の福祉」「人権の尊重、擁護」「男女平等」の視点を明確に規定しています。そして、国、地方公共団体が必要な施策を講じる責務を明記しています。施策に関する基本的な方針として、厚生労働省の告示第111号では市町村の役割として、主に次のような点が挙げられています。
・支援調整会議の設置に努めること
・関連機関との緊密な連携が図られるよう配慮を行うこと
・市町村基本計画の策定に努めること
・女性相談支援員の配置に努めること
・民間団体と協働して女性支援を積極的に担うことなどです。
特徴的なのは、民間団体との協働、アウトリーチによるきめ細かな支援や民間団体に対する補助規定が創設されていることです。
そこで、
質問1.新法成立の意義について、本市の認識を伺います。
(答弁後)
長年婦人保護事業に携わっている戒能民江氏はこの女性支援新法は、『売春防止法などに代表される、社会秩序の問題から女性の人権』という表現で人権の問題として法制化したところに大きな意義がある、さらに、一部の人たちの力だけでなく、地域の関連機関や民間団体と力を合わせて行うことが必要であるとし、自己責任ではなく、社会がきちんと責任を持つ、支援が必要な人がいればサポートをするのは行政の責任であるという事が従来と異なる大事な点である」と述べています。
私は、人権と福祉増進の観点から、この画期的な女性支援新法に魂を吹き込み、行政として前向きにとらえ、適切な予算を確保し、体制を充実させ、その責務を果たすことをまず要望すると同時に、
法は女性支援法の実施体制(担当部局)について=女性支援相談センターの設置が国、県、指定都市には義務付けられています。人口27万人弱を要する中核的な都市である市原市として女性支援センターに準ずる部署の設立の検討をお願いしたいと思います。
質問2.売春防止法を根拠法としていた婦人保護事業から、大きく支援の基本理念が転換されますが、新法施行後の本市の支援の在り方や、取り組み強化の考え方について伺います。
(答弁後)
先進事例として、埼玉県上尾市では県内初の市民参加型「困難女性支援ネットワーク」が参考になるのではないかと思います。ここでは、⓵男女共同参画推進センターが窓口となるワンストップで支援②民間団体が活動できる「市民参加型」のネットワークを構築等分かりやすいイメージ図が示されています。
このような先進事例の調査研究も是非お願いしたいと思います。
次に支援の要となる女性支援相談員の人数や待遇の問題です。本市のDV等の相談件数は非常に多くの数となっており、各部署との連携で対応がなされていると考えます。
相談員の業務は電話・面談・同行支援・関係機関との調整・支援の措置手続きなど多岐に渡り、高度な専門性が求められます。
質問3.厚労省の調査では、今年4月1日時点での千葉県内の配置状況は64人、平均経験年数7年6か月、正規職員は2名です。本市の現状をお聞かせください。
(答弁後)
新法では、地方自治体は女性相談支援員の適切な処遇の確保、資質向上のための研修の実施に努めることとなっています。
私はそのためにも期間の定めのない正規職員を専任相談員として複数配置し、支援の継続性と専門性が保障されるような待遇がなされることを要望致します。
市町村の支援事業に対するいくつかの補助事業が予算化されています。これらの資金の有効活用と共に、市の予算の拡充も求めます。
質問4. 支援をする場の設定について伺います。
女性による女性のための相談会実行委員会主催の相談会が東京都内で行われています。この相談会は労働・生活・家庭/家族・心と体の健康・妊娠・出産などの相談を受け付けています。会は相談に来た女性たちへの伴走支援を目的として、2021年3月から6回の相談会を開催しています。本市においても、このような場を設定していただきたいと考えますがいかがでしょうか。
(答弁後)
支援をする場の設定についても要望といたします。
(まとめ)
福祉と人権の視点に立った公的支援を拡充することは、男性の性暴力被害者などを含め、すべての人を支える社会づくりに繋がるのではないでしょうか。女性支援新法を力に、市原市での取り組みを前進させることを要望いたします。